○芸西村滞納処分の執行停止に関する事務取扱要綱

平成22年12月1日

要綱第36号

(滞納処分の執行停止の意義)

第1条 滞納処分の執行停止は、徴税吏員が一定の調査を行った結果、滞納者に一定の事由があり徴収の見込みがない場合に、納税の緩和を図るとともに、徴収事務の合理化及び効果的な運用を図ることを目的として徴税機関の長が職権で行うものである。

(処分停止の要件)

第2条 処分停止を行う対象は、次の停止事由に該当するものであること。

1 第1号該当(無財産)

(1) 絶対的無財産

判定時において滞納者の財産が全くないもののほか、次に掲げるものについても絶対的無財産として取り扱う。

ア 既に差し押さえた財産及び差押の対象となりうる財産の処分予定価額が、当該徴収金に優先する債権額に充て残余を得る見込みのないもの。

(国税徴収法基本通達第153条関係2 (1))

イ 差押の対象となりうるすべての財産について差し押さえ、換価(取立)したが、なお未徴収があるもの。

(国税徴収法基本通達第153条関係2 (2))

(2) 財産はあるが、実質的には差押ができない場合

ア 法令により差押が禁止されている財産しかないもの。

(ア) 国税徴収法第48条第2項(無益な差押の禁止)に該当する財産。

(イ) 国税徴収法第75条(一般の差押禁止財産)に該当する財産。

(ウ) 国税徴収法第76条(給与の差押禁止)及び同法第77条(社会保険制度に基づく給付の差押禁止)に該当する給与等の債権。

(エ) 他の法令により差押を禁止されている財産。

・生活保護法第58条、児童手当法第15条等。

イ 実質的に差押(換価)対象とならない財産しかないもの。

(ア) 法施行地外(日本国外)にある財産。

(イ) 本質的に差押の不可能な財産。

・金銭又は物の給付を目的としない行為(演奏をすること)や不作為(ある行為をしないこと、例えば、競業をしないことや3階以上の建物を建てないというような契約)を目的とする債権。

※ただし、これらの債権が債務不履行等により損害賠償請求権となったときには、差し押さえることができる。

(ウ) 譲渡又は取立てができない財産。

a 相続権、扶養請求権、慰謝料請求権及び財産分与請求権等。

※ただし、その権利の行使により金銭的債権等の具体的な債権となったときには、その債権を差し押さえることができる。

b 地役権、留置権、先取特権、質権及び抵当権等。

c 商号

ウ 既差押財産又は差押財産について調査の結果、処分をしても配当が見込めないもの。

(3) 交付要求(参加差押を含む)後の無財産

交付要求及び参加差押に対する配当がなく、別に滞納処分をすることができる財産がないとき。

(4) 取扱上無財産と認定する場合

ア 換価困難な財産のとき。

差押はできるが、その性質、形状及び損耗の程度からみて換価が不能又は著しく困難であると認められる財産。

(ア) 需要が特殊な者に限られる等、市場価値がないため買受希望者のないことが明らかな営業用機器又は家具等。

(イ) 中古品で全く需要のないもの。

(ウ) 形式、性能等が古く、相当程度の修理が必要と認められ、修理のための費用がそのものの価格との相対的な関係から適当でないもの。

イ 取立困難な財産のとき。

第三債務者の現況から判断すると、その債務の履行が期待できない債権、不確定期限の付いた債権、条件の付いた債権及び反対給付に係る債権等でその期限、条件その他の内容により取り立てることが著しく困難と認められ国税徴収法第89条第2項による換価もその債権の内容から期待できないと認められるもの。

ウ 換価不能財産のとき。

差押中の財産について、差押後相当期間が経過したこと等により、差押物件が著しく損耗し、あるいは消滅し、又は所在が不明となり、換価処分をすることが不可能となったもの。

(5) その他

ア 破産者(原則として、交付要求終結(破産廃止)後に限る。)

破産法上、租税債務は非免責債務であるので破産廃止等によって自動的に消滅したり、減免されたりするものではないが、破産宣告及びこれに係る破産廃止決定を受けた場合は一般に「絶対的無財産」と同様の状態にあると考えられるので、それに反する事実が認められない以上、第1号該当による取り扱いをするものとする。

イ 事業廃止している場合

(ア) 登記簿上の解散をし、清算済みである法人。

(イ) 法人台帳除帳等、事実上廃止した法人。

※合名、合資会社の場合は、第二次納税義務の有無に注意すること。

ウ その他

(ア) 以上に類する事情があると認められるもの。

(イ) 職権廃車又は課税保留された軽自動車税。

2 第2号該当(生活困窮)

個人の滞納者について滞納処分をすることにより、その生活が著しく窮迫すると認められる場合に適用する。

(1) 生活保護法の適用を受けているとき。(生活保護受給者)

(2) 生活保護法の適用水準に近い生活程度のとき。

ア 1年以内に生活保護法の適用を受けると予測される場合。

イ パート収入等零細な賃金収入だけで、その日の生活に追われている場合。

※この場合の「生活保護法の適用水準に近い生活程度」とは国税徴収法施行令第34条(給料等の差押禁止の基礎となる金額)の1か月当たり滞納者100,000円、配偶者その他の親族1人当たり45,000円で計算した金額程度の収入である。

ウ 預金額については、生活保護の「最低生活費認定調書」に準じて算出した最低生活費の金額以下であるときは執行停止をしてもよいものとする。

(3) 財産保有の許容限度

(2)を認定する場合の滞納者の所有財産は、次の各号に掲げるものについては、滞納処分の停止の執行を妨げないものとする。

ア 電話加入権

高齢、障害等のため必要不可欠であり、公売等を執行した場合、新たに購入する資力がないと認められるとき。

イ 居住用財産

次の各号に全て該当する場合には所有を認める。

(ア) 換価等により生活の本拠を失うとき。

(イ) 親族等とも同居できず、居住財産を処分してもその後の家賃を支払える資力がないため、新たな賃貸もできないとき。

(ウ) 高齢、病気等により、将来回復の見込みがないとき。

(エ) 居住用財産が必要最小限と認められるとき。

(オ) 他に私債権の差押、参加差押等がないとき。

ウ その他

所有財産が生活に必要不可欠で、最小限の財産と認められるとき。

3 第3号該当(所在及び財産の不明)

(1) 納税通知書又は督促状が公示送達されており、かつ滞納処分することができる財産が不明である場合。

(2) 催告書等の返戻後、住民票又は商業登記簿等の調査及び現地調査、電話連絡を行ってもその所在が知れず、かつ滞納処分することができる財産が不明である場合。

(3) 住登外課税者で居所の追跡ができず、かつ滞納処分することができる財産が不明である場合。

(4) 職権消除された者で居所の追跡ができず、かつ滞納処分することができる財産が不明である場合。

(5) 出国し、長期間帰国が見込めない者で納税管理人がなく、家族も代納を拒み、かつ滞納処分することができる財産が不明である場合。

(6) 出国した外国人で、再入国の予定がないか又は不明の場合。

※財産が不明である場合とは、現住所地、以前の住所地及び本籍地において、動産、不動産、電話加入権、預金、生命保険等、関係機関及び公簿等を調査しても、なお滞納者に係る財産が判明しない場合とする。

4 第1号及び第5項該当(即時消滅)

(1) 本人が死亡した場合で次のようなときは滞納処分の執行を停止し、直ちに納税義務を消滅させることができる。

ア 相続人の全てが相続放棄をし、納税承継人がいないとき。

イ 民法上の相続人はいるが、滞納者との関係が希薄で事実上の相続関係がないと認められるとき。

ウ 限定承認した相続人(納税承継人)の相続財産に差し押さえることができる財産がないとき。

(2) 上記第2の1(第1号該当)に該当し、明らかに将来の納付が見込めないものは、停止後3年を待つ実益がないため、直ちに納税義務を消滅させることができる。

以下実例を挙げる。

ア 差押財産及び差押の対象となる財産の処分予定価額が、他の優先する債権額に充てられ、残余を得る見込みのないとき。

イ 差押の対象となる全財産についてその換価を終了してもなお未徴収があり、将来の納付が見込めないとき。

ウ 実際に差し押さえることができる財産がなく、かつ将来の納付も見込めないとき。

エ 交付要求(参加差押を含む)終結後、他に滞納処分をすることができる財産がなく、かつ将来の納付も見込めないとき。

オ 海外移住者で帰国の見込みがないとき。

カ 出国した外国人で再来日の見込みがなく、かつ滞納処分することができる財産が不明であるとき。

キ 法人が解散したとき又は解散の登記はしていないが事実上廃業して、将来事業再開の見込みがなく、かつ滞納処分することができる財産が不明であるとき。

ク 株式会社につき会社更生法による更正計画が認可決定された場合において、更正又は決定の処理遅延等により未納の地方団体の徴収金及び滞納処分費を更正債権として期日までに届け出なかったために更正計画により認められず、会社更生法第241条の規定によりその会社が免責されたとき。

※財産が不明である場合の基準は、第3号該当の場合に同じ。

(処分停止の執行基準)

第3条 処分停止は、原則として滞納者の徴収金全部について執行する。

2 第二次納税義務者については、処分停止に該当する事実が認められるときは、主たる納税者又は特別徴収義務者と関係なく、その第二次納税義務者に対して処分停止することができる。

3 滞納処分により差し押さえた債権について、その全部又は一部の取立てに長期間を要すると認められる場合において、その取立てに長期間要すると認められる債権を除いて処分停止ができると認められるときは、その取立可能と認められる債権額を控除した残額について処分停止を行うこと。

4 次の場合は処分停止を執行しない。

(1) 交付要求又は参加差押をしているとき。

(2) 第二次納税義務者、譲渡担保財産、保証人又は物上保証人から徴収できるとき。

(3) 連帯納税義務者がいるとき。

(処分停止要件の調査)

第4条 以下の事項等について調査を行い、総合的に判断する。

1 個人の場合

(1) 納税できない理由。

(2) 滞納者の職業、事業、生計及び財産(負債を含む)の有無。

(3) 滞納処分済みの場合は、その処分年月目、処分財産名及び処分財産の調査時における換価価値。

(4) 国、他市町村等の滞納処分又は滞納処分の停止等の執行状況。

(5) その他

ア 強制換価が執行された場合は、その処分年月日及び配当の状況。

イ 所在不明の場合は、所在不明となった時期、遺留財産の有無、調査年月日及び調査場所。

ウ 抵当権等により担保される私債権がある場合は、その内容及びこれらの債権と徴収金の優先劣後の関係。

エ 軽自動車税については、その課税客体の有無。

オ 徴収嘱託をしている場合は、その嘱託年月目及び嘱託先での現況など。

2 法人の場合

個人の場合に準じるが、そのほか商業登記簿謄本により解散の有無、清算の状況(清算人の氏名、残余財産の分配状況)等を調査するとともに、将来の事業再開の見込み、直近の事業年度の決算書、関係機関の課税担当部署の除却処理の有無等について調査する。

(処分停止後の調査)

第5条 処分停止後、3年を経過する日までに処分停止の要件を欠くと認められる事実が生じたときは、地方税法第15条の8第1項(滞納処分の停止の取消)の規定により処分停止を取り消さなければならないから、処分停止後においても滞納者の資力及び所在等について十分留意する。

(処分停止の取消し)

第6条 処分停止後3年を経過する日までに、その滞納者につき処分停止の要件を欠く事実が生じたことを確認した場合は、直ちに処分停止を取り消すものとする。

なお、第二次納税義務者について処分停止を取り消した場合において、主たる納税義務者が処分停止を受けているときは、その主たる納税義務者の処分停止も取り消す。

この要綱は、平成23年1月1日から適用する。

画像

芸西村滞納処分の執行停止に関する事務取扱要綱

平成22年12月1日 要綱第36号

(平成23年1月1日施行)